『田園の詩』NO.86 「ラジオ体操」 (1998.9.19)



 夏休みにつきものといえばラジオ体操です。一学期の終業式を終え、学校から帰って
来た小学6年生の息子が「お父さん、ウチの地区はボクの家でやるように決めたよ」と私
に告げました。さっそく私は、筆の軸用の竹で直径1cm位の丸印とカセットテープを
用意しました。

 さて、翌朝7時、小学5年の女の子と、4年と1年の男の子がやってきました。息子と
私を合わせて5人の体操の輪ができました。

 ラジオ体操は6時半からでは?と思われるかもしれません。「休みなのに朝6時半は早
すぎる。いつものペースが乱れる」という子供と大人の意見が一致して、わが地区では
録音したテープを使い、7時から始めています。

 もちろん、頑張ってラジオに合わせて6時半から始める地区もあります。そちらの方が
正当で、こちらがズボラをしているだけです。

 子供達と体操をしながら、私は40年ほど前の昔を思い出しておりました。寺の境内と
いうことで場所はいつも此処。しかしテープなどないので時間は6時半、子供達はあふれ
んばかりいました。

 やはり随分変わったものだと思いつつも、子供達(とくに男の子)の服装が昔と似通って
いるのに気が付きました。

 私達が子供の頃は、上は(下着用の)白い半袖シャツかランニング、下は≪さるまた≫
と呼ばれた白パンツにダブダブの半ズボンでした。


      
       古い写真がありました。昭和33年ころかな?


 その後、服装はシャレたものに変わり、上はカッターシャツかポロシャツ、下のパンツは
ブリーフに、半ズボンは短く足にピッタリしたものになりました。

 現代は、上はロゴマークの入った爽やかなTシャツ、下のパンツはほとんどが色柄のトラ
ンクスです。半ズボンも随分ユッタリしています。

 なんのことはない、着色して見栄えが良くなっただけで、下着の半袖シャツがTシャツ
に、さるまたがトランクスになっただけだと私には思えるのです。

 首に下げた体操カードに赤丸をもらった時の笑顔だけは、いつの時代も変わらないよう
です。                        (住職・筆工)

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